2023QIの特徴

新型コロナウィルス感染症が5類に変更

2023年は、新型コロナ感染症が5類に変更されたことによる影響が各指標に表れました。
特に病棟では、一般病床に設置したコロナ病床がなくなったことで、ベッド数が増加し入院患者数が増加しました。またそれに伴い、一般急性期病床が満床のために断っていた救急患者受け入れについても、件数・割合ともに増加しました。
 2024年は5月より新病院に移転し、それに伴い一般急性期病床の個室割合が増加することから、より救急患者受け入れが柔軟におこなえるようになることが予想されます。

>>1. 基本指標
>>12.救急車受入割合

 一方で外来患者数については、コロナ過においても減少しなかった為、2023年も大きな変化はありませんでした。
>>1. 基本指標

コロナ過・アフターコロナにおいても、継続的に実施できた慢性疾患患者の定期検査
みどり病院および同一法人診療所では、定期通院の慢性疾患患者に対し、通院状況の確認・定期検査の実施状況の確認を行い、患者への電話かけ・手紙送付、主治医への依頼を行っています。また、みどり病院では、誕生月検査おすすめを行い、定期的な検査の実施を推進しています。
 慢性疾患患者の定期検査実施状況をみると、コロナ過・アフターコロナを通して、常に同水準で検査実施できていました。今後とも定期検査にご理解ご協力お願い致します。

>>9. 慢性疾患患者の定期検査実施

一定期間内の平均機能自立度改善率が向上した回復期リハビリテーション病棟

回復期リハビリテーション病棟の患者数・在宅復帰率は過去5年間で最も高くなりました。
更に、FIM(機能的自立度評価)/在院日数=FIM効率は、365日リハビリを開始以降向上し、2022年以降全国平均を超えております。
当院の回復期リハビリテーション病棟では、リハビリの質を重視し、本人の状態にあわせたリハビリプログラムの作成を心がけております。また、自主練習プログラムを作成し、朝の集団リハ体操など、リハビリテーションの時間以外でも自主訓練がおこなえるよう工夫しています。

>>15. 回復期リハビリテーション病棟の指標

カンファレンス実施件数の増加

当院の病棟では、合同カンファレンス、入院時カンファレンス、リハビリカンファレンス、NSTカンファレンス、精神科カンファレンス、内科カンファレンスなど、目的にあわせ、各種のカンファレンスをおこなっています。2023年はこれまで新型コロナウィルス感染症防止の影響により減少していた件数が2022年(1860件)→2023年(2246件)と大幅に増加しました。

>>18. 入院患者へのケアカンファレンス実施

全国の民医連病院の中でも高水準の、薬剤師介入

2023年の安全管理が必要な医薬品に対する服薬指導実施率は96%でした。
この値は、全国の民医連病院の中でも最も高い値となっています。
入院患者への早期薬剤師介入についても、入院から薬剤師介入までの日数は2023年(2.8日)と毎年短縮しています。
介入後の成果をみる指標「高齢者の内服定期薬の薬剤数が6剤以上の患者割合」についても、2023年(25.9%)と、全国の民医連加入病院間で、最も良好な値となっていました。

>>6. 薬剤関連の指標

もっと詳しく 2023QI指標


●●●●共通の指標●●●●

1. 基本指標
 1)外来患者数
 2)外来患者の初診患者割合
 3)新規患者の推移
 4)入院患者数

2. 紹介・逆紹介
 1)紹介・逆紹介件数
 2)初診患者の紹介・逆紹介率
 3)入院患者の紹介元
 4)外来患者の紹介・逆紹介


3. インシデント・アクシデント報告
 1)インシデント報告件数
 2)医師のインシデント報告件数
 3)レベル3b以上(高度障害事例)のインシデント報告件数
 4)レベル0(軽度事例)のインシデント報告件数

4. カルテ開示件数(閲覧サービス利用件数)

5. 勤医協基金の実績

6. 薬剤関連の指標
 1)採用薬品数
 2)入院患者への薬剤師介入
 3)安全管理が必要な医薬品に対する服薬指導実施率
 4)入院患者への早期薬剤師介入
 5)高齢者の内服定期薬の薬剤数が6剤以上の患者割合

7. 栄養に関する指標
 1)入院早期の栄養ケアセスメント実施割合(急性期)
 2)入院早期の栄養ケアセスメント実施割合(急性期以外)
 3)糖尿病・慢性腎臓病患者への栄養管理実施率

8. 高齢者への認知症スクリーニング
 1)検査実施件数(入外)
 2)認知症スクリーニング検査実施後のMRI検査実施率


●●●●外来の指標●●●●

9. 慢性疾患患者の定期検査実施

10. 外来通院患者の糖尿病HbA1cコントロール

11. 透析患者へのケア
 1)フットケア実施率
 2)インスリン投与患者へのインスリン指導割合

12.救急車受入割合
 1)救急車受入割合
 2)救急車受入患者の入院率
 3)救急車受入後、入院件数と延べ入院日数
4)新入院における救急受入後入院の割合

13. 在宅往診に関する指標
 1)在宅往診患者の入院件数
 2)在宅患者の看取り(自宅・施設)
 3)在宅患者の終末期希望「私の心づもり」確認割合

14. 大腸癌検診結果
 1)便潜血検査実施件数と陽性率
 2)便潜血検査で陽性となった患者の精査受診率
 3)精査結果


●●●●入院の指標●●●●

15. 回復期リハビリテーション病棟の指標
 1)年齢構成
 2)在宅復帰率(*在宅系施設含む)
 3)疾患分布
 4)在棟期間平均
 5)FIM評価(利得)
 6)FIM効率((FIM利得/在院日数)

16. 地域包括ケア病床の指標
 1)入院経路
 2)予定入院割合
 3)退院経路
 4)リハビリ・その他の指標

17. 入院患者のリハビリテーション
 1)退院患者におけるリハビリテーション実施率
 2)病棟別リハビリテーション実施単位数
 3)回復期リハ病棟以外での早期リハビリテーション実施

18. 入院患者へのケアカンファレンス実施
 1)入院患者へのカンファレンス実施割合
 2)退院患者への退院前合同カンファレンス実施
 3)種類別カンファレンス実施件数

19. 身体的拘束
 1)身体的拘束の割合(全病棟)
 2)身体的拘束の割合(一般急性期病棟・地域包括ケア病床)
 3)身体的拘束の割合(回復期リハビリテーション病棟)

20. 入院患者の転棟・転落インシデント報告件数
 1) 入院患者転倒転落事例報告件数
 2) Lv3b以上(=転倒転落事故による骨折発生等の高度障害時例)の報告件数
 3)転棟・転落インシデント報告件数(一般急性期病棟・地域包括ケア病床含む)
 4)転棟・転落インシデント報告件数(回復期リハビリテーション病棟)

21. 入院患者満足度

共通の指標

1 基本指標

1)外来患者数

みどり病院と予約定期通院患者用近接診療所のすこやか診療所の外来患者数推移です。
コロナ禍の影響等にて減少していたみどり病院の延べ外来患者数数は、2022年には回復傾向にあります。すこやか診療所は、大きな変化はありませんでした。
2024年5月よりみどり病院の移転に伴い、すこやか診療所の在宅と内科の一部を除いて、みどり病院統合されます。みどり病院とすこやか診療所の合計平均患者の推移は、みどり病院と同様の増減変化となっています。

2)外来患者の初診患者割合

2020年・2021年6%だった初診患者割合は、2022年10%に戻り、2023年も9%となっています。初診の実患者数も同様の変化となっています。
予約定期通院患者用近接診療所のすこやか診療所を除いたみどり病院のみで推移を確認すると、2020年〜2021年は、11%でしたが、2022年からは、18%の以前水準に戻っています。

3)新規患者の推移

新型コロナ感染症の影響を受けて、減少した2020年〜2021年の患者数ですが、新規患者数においては、新型コロナ予防接種の影響を受け、増加しました。普段は当院を受診されない患者様を含めた地域の皆様へも、医療提供を行えた結果と予想されます。新型コロナウィルスワクチンの集団接種終了後は、新規患者数は、以前の水準にもどっています。

4)入院患者数

コロナ病床を設置した2022年は、延べ入院日数、退院患者数、新規入院患者数ともに減少しました。後半コロナ病床を解除した2023年は入院述べ数が以前水準に戻っています。



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2. 紹介・逆紹介

1)紹介・逆紹介件数

紹介件数(他院からみどり病院への紹介)は、大きな変化ありませんでした。
逆紹介件数(みどり病院から他院への紹介)は、2020年に減少以降は、大きな変化はありません。

2)初診患者の紹介・逆紹介率

初診患者総数は減少傾向にあります。
紹介率・逆紹介率は増加傾向にありますが、紹介・逆紹介の件数に、大きな変化はありませんでした。

3)入院患者の紹介元

みどり病院では近隣医療機関と連携をとりながら、患者様へとぎれのない医療を提供しています。以下連携先医療機関の統計です。
病棟種別に関わらず、当院入院患者の紹介元病院の中で最も件数が多いのが「岐阜県総合医療センター(県GMC)」、ついで「中濃厚生病院」でした。

4)外来患者の紹介・逆紹介

2022年の外来患者の紹介状況をみると、入院と同様「岐阜県総合医療センター」が最も多く、ついで「中濃厚生病院」「岐阜大学医学部付属病院」となっていました。これらは、高度医療を必要とする場合に、上記3病院に紹介し、治療・精査後に戻ってくるケースが多い当院の現状を反映しています。



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3 インシデント・アクシデント報告

「インシデント報告は少ない方がいいのでは?」と思われるかもしれません。
確かに少ない方が良い病院に見えます。ですが、インシデント報告件数とインシデント発生件数は必ずしもイコールではありません。インシデントに対する意識が低ければ、報告割合は低下しますし、インシデントに対する意識が高い現場では1つの事例に複数の職員の視点からインシデント報告がなされる場合もあります。
 また、インシデント報告を増やすことで、些細なミスをスタッフ間で共有し、再発予防に努めるだけではなく大きな事故を事前に予防することができます。特に、未然に防げた、患者に影響が無いとされるときの報告数(Lv.0,1)を増やすことで医療の改善につながると考えられています。当院においてもLv.0,1の軽度のインシデント報告は積極的に行うように呼びかけています。インシデント総報告数は「病床数×5倍以上、そのうち1割が医師からの報告であること」が、医療安全活動の透明性の目安といわれています。

1)インシデント報告件数

グラフの青線がみどり病院とすこやか診療所を合わせた報告件数、赤線がみどり病院のみの報告件数を表しています。年度が進むにつれ報告件数は右肩上がりでしたが、2023年度は減少傾向に転じました。ただし、医療の安全性委員会が定めている報告件数目標500件以上はクリアしており、みどり病院とすこやか診療所合わせて、みどり病院のみともに2023年度も目標を達成することが出来ました。ただし、報告が減少傾向にあることに注視し、インシデントレポートを挙げる意味、書き方の教育等を研修で進め、報告件数増加に向けての働きかけを継続しておこなっております。

2)医師のインシデント報告件数

医師からのインシデント報告は医療安全において重要視されています(報告件数の1割が目標目安)。2018年度から右肩上がりに報告件数が伸びてきており、良い傾向にありますが、目標値の1/3~1/2未満となっています。今後も引き続き、より多くの医師からの報告が挙がるよう働きかけを行っていきます。

3)レベル3b以上(高度障害事例)のインシデント報告件数

2022年度までは増加傾向を認めましたが、2023年度は減少傾向に転じました。

4)レベル0(軽度事例)のインシデント報告件数

Lv0事例報告は、「ヒヤリ・ハット報告(事故にいたらなかった事例)および※1.GoodJob報告」にあたります。医療安全では、大きな事故未然に防ぐためにはその下に多く存在する小さな事例のうちから対策することが重要(※2.ハインリッヒの法則)とされています。
Lv0事例件数とLv3a以上事例件数を比較すると、Lv0事例の報告割合が増え、Lv3b以上の事例報告が減ったという傾向が見えます。今後とも、Lv0報告(ヒヤリ・ハット報告およびGoodJob報告)を積極的に挙げ、Lv3b以上の重大事故発生を防止していくよう働きかけていきます。

※1.GoodJob報告: 事故が起きそうになったが、他者のフォローのおかげで事故発生を免れたというような、フォローしてくれた仲間に感謝を示す報告。

※2. ハインリッヒの法則: 1件の重大事故の背景には29件の軽微な事故が起きており、更にその背景には300件のヒヤリ・ハットが起きていることを示した法則。

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参考>>20. 入院患者の転棟・転落インシデント報告件数

4 カルテ開示件数(閲覧サービス利用件数)

カルテ開示とは、患者の求めに応じて診療録の閲覧・複写交付を行為です。
訴訟目的以外でも、開示可能です。申請後は、主治医・院長・管理者の承認の上、約1週間程度で開示できます(10年以上前の記録の場合、時間がかかる場合があります)。また、個人情報保護を念頭におき、患者本人の同意なしに、患者以外の方へ開示を行う事はありません(死亡患者の親族からの申請の場合は、続柄証明を必要とします)。また、より利用しやすいサービス提供の為、遠方の方からの開示請求に対しては配送で対応などの工夫を行っております。
年推移をみると2023年は7件に増加しました。
2023年年度からは、院内貸出しタブレットを利用した、無料のカルテ閲覧サービスを開始し、2023年の実施件数は12件でした。



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5 勤医協基金の実績

勤医協基金とは、岐阜健康友の会会員(本人のみ。家族会員除く)の皆様より、無利子にて1口1000円より、お借りする資金の事です。みどり病院だけでなく、これまでの各種法人の診療所・介護施設は、地域の皆様の支援により建設されてきました。2024年5月にリニューアルしたみどり病院の建設では、約30億の建設費用の内、2億を勤医協基金にて支援頂くことを目標にしています。
 基金は2024年4月時点の基金の積算金額は51,681万円/1,889人となっております。
 新病院のコンセプトは「子どもから高齢者まで、地域に開かれた、みんなにやさしい病院」。地域に支えられて建設された病院として、今後も無差別平等の医療・介護の実現を目指して取り組みます。



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6 薬剤関連の指標

1)採用薬品数

医薬品を有効・安全に使用する為、科学的視点から評価し、必要な医薬品を選定できているか?を評価する指標です。
採用薬および新薬を定期評価する事によって、採用薬品数を適正に抑え、有効で安全かつ安価な医薬品の提供を実現します。
みどり病院では、半期毎の岐阜民医連県連薬事委員会で、当院での使用実績や患者への効果検証を元に疾患別・薬効群別採用薬の見直しを行っております。
採用薬は毎年減少させておりますが、同規模の他病院と比較すると多い薬品数であり、更なる見直しが必要です。

<ジェネリック医薬品について>
後発医薬品(ジェネリック医薬品)は先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認され、一般的に研究開発に要する費用が低く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安く、医療費の患者負担軽減に大きく影響します。
しかし、2020年に起こった一部のジェネリック医薬品メーカーの不適性事件以来、操業を一時停止するメーカーや自主回収をするメーカーがあったため、市場に流通するジェネリック医薬品の総量が減ってしまいました。その総量が減った状態が、2022年の現在になっても続いているため、品薄になっています。
当院では、岐阜民医連グループで卸業者と納品・価格交渉をおこない、安定供給が行えるよう努めております。

2)入院患者への薬剤師介入

2023年も2022年同様85%代となりました。
なお、この実施率は、全国の民医連病院間の比較においても、高い水準となっています。

※ピンク色が当院

3)安全管理が必要な医薬品に対する服薬指導実施率

常に96%以上を維持しています。
なお、この実施率は、全国の民医連病院間の比較において、最も高い数値となっています。

※ピンク色が当院

4)入院患者への早期薬剤師介入

毎年介入までの日数が減少しており、早期介入が行えています。
なお、この「薬剤師介入までの日数」は、全国の民医連病院間の比較においても、良好な数値となっています。

※ピンク色が当院

5)高齢者の内服定期薬の薬剤数が6剤以上の患者割合

多剤投与割合は、毎年減少傾向にあり、2023年は25.9%でした。
この値は、全国の民医連加入病院間で比較すると、最も良好な値となっていました

※赤色が当院



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7 栄養に関する指標

1)入院早期の栄養ケアセスメント実施割合(急性期)

急性期病棟での3日以内実施率は、2022年92.81%からやや減少し、88.37%でした。
この数値は、全国民医連加入病院間で比較すると、中央地よりやや低い値でした。
当院では、入院患者の内、「内視鏡、PSG、アレルギー負荷試験目的」を除く全ての患者において栄養管理計画書を作成しています。
2023年は、栄養士の人員配置が厳しい状況でしたが、必要とされる介入を行うよう取り組めたことが予想されます。
 後記載で見られるように、7日以内の介入は95%以上を常に維持できています。

※ピンク色が当院

2)入院早期の栄養ケアセスメント実施割合(急性期以外)

急性期以外の病床の7日以内実施率は、97.8%と高い値となりました。
全国民医連加入病院間でも、中央値より高い値となっています。

※ピンク色が当院

3)糖尿病・慢性腎臓病患者への栄養管理実施率

2021年以降の3年間大きな増減はありません。
この数値は、全国民医連加入病院間で比較すると、中央地よりやや低い値でした。

※ピンク色が当院



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8 高齢者への認知症スクリーニング

認知症の診療で重要となるのが「早期発見・早期治療」です。本指標は65歳以上の認知症スクリーニング検査(当院では、改訂長谷川式簡易知能評価スケール:HDS-Rを使用)の実施状況を示しています。HDS-Rでは、20点以下で認知機能低下があるとされています。また、どのような認知機能の低下があるかを判定するために、項目ごとの評価も必要となります。検査で、認知機能低下が疑われる場合は、原因疾患の精査をするために他の検査を併せて行い、早期発見後の治療へつなげています。

1)検査実施件数(入外)

検査件数は増加しました。入院での検査は、せん妄との除外を行った上でHDS-Rを行っています。高齢の方の入院で“せん妄”は、認知症と鑑別すべき状態として、考えなくてはいけない問題です。昨年度から、病棟ではせん妄予防への取り組みについても力をいれているので、指標についても検討します。

2)認知症スクリーニング検査実施後のMRI検査実施率

認知症スクリーニング検査を行った患者のうち、認知症が考えられた患者に対して、MRI検査等にて診断を行い、治療を開始します。
全ての患者が精査対象ではありませんが、認知症スクリーニング検査を行った患者の1~3%でMRI検査を実施していました。今後も早期発見を行い、早期治療につなげられるよう、適切なタイミングで検査を実施していきます。




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外来の指標

9 慢性疾患患者の定期検査実施

慢性疾患医療において、傷病の悪化・合併症、癌の早期発見・早期治療の為には、定期検査がかかせません。みどり病院および同一法人診療所では、定期通院の慢性疾患患者に対し、通院状況の確認・定期検査の実施状況の確認を行い、患者への電話かけ・手紙送付、主治医への依頼を行っています。また、みどり病院では、誕生月検査おすすめを行い、定期的な検査の実施を推進しています。
 年ごとの慢性疾患患者の内、当年に1回以上検査の実施があった患者を検査ありとして、実施率を計測しました。

①2021年度からコロナ禍となるが、全体の検査実施率は大きく下がりませんでした。
②2021年度は途中の為、やや低いことを考慮すると、2021年度の実地率は例年水準に達しています。
③2021年度より他院健康診断は登録しない運用ルール変更があった為、関連の数値が減少しているが、実際の検査実施率は減少しなかった。
④2022年より取り組み強化した「骨密度」は実施率が5%に上昇しました。
⑥栄養指導は、栄養士人員体制の影響で、実施率は低下しました。
⑦みどり病院とすこやか診療所の検査実施率を比較すると慢性疾患患者へのフォロー体制は、すこやか診療所と比較して十分な状況ではありません。

定期検査おすすめの取り組み成果が、コロナ禍の検査控えの社会情勢でも定期検査をきちんと行えている状態に現れているとことが予想されます。今後とも定期検査にご理解ご協力お願い致します。



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10 外来通院患者の糖尿病HbA1cコントロール

当院の糖尿病治療患者は高齢者の割合が高く、全体の80%が65歳以上となっています。高齢であってもなくても、糖尿病の治療目標は同じようにQOLと寿命を達成することが目標だといわれています。その目標を達成するためには、高齢糖尿病患者さんの血糖コントロール目標では、手段的ADL、認知機能、併存疾患・機能障害、重症低血糖のリスクなどを考慮している、『高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)』※を参考とし、さらに心理状態、QOL、社会・経済状況、患者や家族の希望などを考慮しながら、個々の患者ごとに個別に設定することが推奨されています。(※日本糖尿病学会・日本老年医学会合同委員会)
 そのため、当院でも患者さんと主治医の同意のもと、患者さんごとの背景に合わせた目標値が掲げることとしています。上記のように、高齢者のHbA1c目標値については、認知機能・ADL状態の違いによって目標値が異なりますが、今回は「認知機能正常かつADL自立の場合」の目標値を達成判定基準に選択しました。

全体的にコントロール良好患者が増加傾向にあります。
特に、65歳未満の患者のコントロール良好割合が大きく増加しました。
患者数は65歳未満は大きな変化なく、65歳以上の患者が、高齢化して75歳以上に移行しています。



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11 透析患者へのケア

1)フットケア実施率

透析治療を受けている患者さんの足は、足の冷え・痺れ・痛み、傷の形成などが起こりやすくなっています。その原因は動脈硬化や末梢血管障害のために血液の循環が悪くなるからです。さらに、傷などが悪化した場合、足の切断に至る場合もあり、フットケアを通して、足の症状の早期発見・早期治療に努める必要があります。透析センターでは年間目標の一つに下肢救済を挙げています。下肢切断とならないようフットケア実施率100%を掲げ、取り組んでいます。2023年も100%を維持できていました。

2)インスリン投与患者へのインスリン指導割合

透析導入となる原因疾患の第1位は糖尿病性腎症です。日本人では2型糖尿病患者の32%が糖尿病性腎症を合併しています。透析導入後も、糖尿病の適切なコントロールが、その後の網膜症、起立性低血圧、四肢の潰瘍・壊疽、心血管合併症などの防止に大きく影響します。さらなる合併症、原因疾患の悪化とならないために、糖尿病のコントロール、そのための院リスリン指導を行っています。2023年、透析患者さんのうち、インスリン投与を行っている方へのインスリン指導実施率は100%でした。




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12救急車受入割合

1)救急車受入割合

2014年10月の回復期リハ病棟開設以降、一般急性期病棟半減により受入可能な病床数が大幅に減少しましたが、「地域からの要請を断らない」を合い言葉に積極的受入に取り組んできました。
2022年は受け入れ割合が減少しましたが、2023年は79%と上昇しました。受入件数についても、129件→185件に増加しています。受入要請総数に大きな変化はありませんでした。

病棟延べ入院日数と救急受け入れ割合を比較すると、受入割合・延べ入院件数共に増加していました。コロナ病床を終了し、受入可能なベッド数が増加したことで、入院患者数が救急車受入に影響を与えなかったことが予想されます。

2)救急車受入患者における、その後入院となる割合

 2022年はコロナ病床設置による稼働ベッド数減少から、入院日を翌日にするなどの調整が必要になる場面がありましたが、2023年はスムーズに受け入れ体制を整え救急車受入患者の入院率は増加しました。

3)救急車受入後、入院件数と延べ入院日数

救急車受入後入院と病棟入院延べ日数を比較すると、入院延べ日数に対する入院受入割合も増加していました。

4)新規入院における救急受け入れ患者割合

2023年はこれまでで最も高く、12.6%でした




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13 在宅往診に関する指標

1)在宅往診患者の入院件数

みどり病院では、法人内診療所と共に、地域の在宅往診患者の医療サポートをおこない、入院・退院時には、在宅チームと病棟が連携し、切れ目の無い医療提供を目指しています。
 みどり病院の法人内往診患者の入院件数をみると、2022年は129件でした。
 今後とも、連携を密に取り、患者様が地域で安心して過ごせる為の医療・介護提供を行っていきます。

2)在宅患者の看取り(自宅・施設)

 終末期を住み慣れた自宅・施設で過ごし、最後の時の迎えたいという希望の患者様の為に、みどり病院・すこやか診療所在宅チームでは、医師・看護師・介護職等を他職種が協力してサポート体制をつくっています。

みどり病院の往診患者は、施設入居者中心。すこやか診療所の在宅患者は自宅患者が中心です。みどり病院では、7人中全患者が在宅看取りでした。施設職員と連携しながら対応できました。すこやか診療所では、49人中21人が在宅看取りでした。病状により自宅での看取りが困難な場合には、みどり病院入院受け入れを積極的に行っています。
在宅チームでは、在宅看取り患者について、振り返りカンファレンスを行い、事例について振り返りをする事で、多職種で関われたことの喜びや問題点が明らかにし、必要に応じて学習会を開催しています。

3)在宅患者の終末期希望「私の心づもり」確認割合

みどり病院隣接のすこやか診療所では、在宅往診患者に対し、終末期希望を「私の心づもり」として確認する取り組みを行っています。『将来、病状が悪化したり、もしもの時が近くなった時はどこで療養したいですか?』の記載欄に初回時から「自宅」と明確に書かれる方は半数程度です。ご本人もご家族も在宅開始時にはまだそこまで考えが及ばない状況や、考えたくない心境だったと推測されます。その時々で気持ちが揺れ動き変化し、見守る家族の気持ちも変化します。こまめに時々のそれぞれの思いの変化を聞き取り、何度も確認することにより在宅での看取りを希望される患者へは、その思いに添えるよう活動しています。
この取り組みも今年で6年目となり、在宅で聞き取ったDNAR情報は電子カルテで院内共有し、入退院時など活用がひろがっています。また、「私の心づもり」配布対象をターミナル患者から全訪問診療患者に広げ、すでに聞き取りをおこなった患者に対しては、時間が経過による患者の病状の変化や気持ちの変化に対応するように定期更新しています。
2022年12月現在のすこやか在宅患者135名中84名(62%)が「私の心づもり」を 記入済みです

命のバトンとの連携について

かねてより患者が独居だったり、同居家族が高齢の場合、急変時の救急要請で、患者情報が救急隊や搬送医療機関にうまく伝わらない事があります。そのため「私の心づもり」を含めた情報の集約が望まれていました。そこで、地域の活動として各家庭の冷蔵庫等に設置してある「命のバトン」(救急医療情報キット)に、すこやか診療所が作成した『緊急医療情報』を収納して緊急時には活用してもらうことにしました。本人情報、医療情報、緊急連絡先等を入れた用紙を「お助けマーク」等のシールを貼ったボトルに入れ冷蔵庫に保管。救急隊からの見つけやすさと平時に他人が中を見ないという利点があります。
【記載内容】
氏名、生年月日、住所、緊急連絡先 、保険証情報、身障情報、介護保険情報
基礎疾患 、DNARの希望の有無、 かかりつけ医療機関 
担当ケアマネ 、利用している介護サービス
これらの情報をA4サイズの紙に印刷し、各患者宅に配布しました。
外部の人の目にも触れる事から情報に間違いがあってはいけないため、患者さんやご家族には何度も見てもらい確認したうえで、発行しています。
「私の心づもり」同様『緊急医療情報』も定期的に見直し、情報を最新のものにしていく事が重要となります。取り扱いについても、細心の注意を払い継続していきます。どのような最期を迎えたいかは、とてもデリケートな問題ですが、心を通わせ寄り添うことにより、信頼関係を築き正面から向き合っていきたいと思います。 




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14 大腸癌検診結果

1)便潜血検査実施件数と要請率

大腸癌検査としてもっとも普及しているのが、便潜血検査です。当院でも健康友の会の患者を中心に「捨てるうんこで拾う命」を合言葉に大腸がん健診(便潜血検査)を勧めてまいりました。
 便潜血検査は便を専用の棒でこすって採取し、血液が混じっているかどうかを調べる検査で、目に見えないわずかな出血も発見することができます。この検査にて2回の採取便の内1回でも血液が混じっていたら、内視鏡による検査が必要です。
 大腸がんは、早期の癌はほとんど自覚症状がなく、大きく進行した後でないと自覚症状がありません。この為、手遅れになるケースが多々あります。大腸癌を早期に発見する為に、定期的な便潜血検査を受けましょう。
2022年度の大腸癌健診実施件数は微増しました。内、健診者における陽性の割合には15%⇒12%に減少しました。

2)便潜血検査で陽性となった患者の精査受診率

当院で便潜血検査にて陽性となった方に電話かけ等を行い、内視鏡検査や大腸CT検査などの精査をお勧めしています。
 2023年度は大きな変化はありませんでした。

大腸CT検査の検査の導入により、気軽に検査が受けれるようになり、精査実施において、大腸CTの占める割合が大きくなっており、2023年度は60件でした。

3)精査結果

諸統計データでは、便潜血で精密検査が必要とされる人は約6%(当院では13%)、うち内視鏡で癌が発見される方は約4%(当院では、癌:4%、ポリープ37%)です。便潜血検査にて陽性となった患者さんから見つかる大腸癌はその多くが早期癌です。早期癌の段階で治療ができれば完治が期待できます。
 また進行癌でも、症状が無く便潜血検査がきっかけで見つかった場合は、自覚症状が出てからみつかった場合に比べて他の臓器への転移が少ないとの報告もあります。便潜血が陽性になっても、精査を受けなければ、大腸癌の有無を確認することはできません。早期発見・治療の為にも、便潜血検査で陽性反応が出た場合には、必ず内視鏡検査・大腸CTを受けましょう。





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入院の指標

15 回復期リハビリテーション病棟の指標

1)年齢構成

全国平均と比較して、当院は75-84歳の割合が多く、45歳未満の割合が極端に少ない傾向にあります。

2)在宅復帰率(*在宅系施設含む)

2020年以降在宅復帰率は、減少傾向にあります。
しかし、この値は、全国平均79.0%と比較すると高い値となっています。

3)疾患分布

2023年は退院患者数に大きな変化はありませんでした。
疾患割合は、廃用症候群が増加、脳血管は減少しています。

4)在棟期間平均

在棟期間の大きな変化はありません。
 患者様の状態に合わせて、安全・安心して退院先で過ごせるよう環境調整までおこなっております。

5)FIM評価(利得)

FIMとは、「Functional Independence Measure(機能的自立度評価法)」の略語です。
評価は、運動項目と認知項目の計18項目で、各項目を1点〜7点の7段階(満点:126点、最低点:18点)。運動項目は、セルフケア、排泄コントロール、移乗、移動の能力を評価、認知項目は、コミュニケーション能力と社会的認知の能力を評価します。

FIM利得(最終のFIM値-初回のFIM値)を疾患別でみると、脳血管疾患・廃用症候群の患者で上昇しました。回復期リハビリテーション病棟では、リハビリの質を重視し、本人の状態にあわせたリハビリプログラムの作成を心がけております。また、自主練習プログラムを作成したり、朝の集団リハ体操など、リハビリテーションの時間以外でも自主訓練がおこなえるよう工夫しています。

6)FIM効率((FIM利得/在院日数)

FIM利得を在院日数で割ったFIM効率をみると、全国平均よりも高い値となっています。



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16 地域包括ケア病床の指標

みどり病院では2020年12月より地域包括ケア病床を開設しました。
地域包括ケア病床は急性期治療を経過した患者 及び 在宅において療養を行っています。
地域包括ケア病床は、患者等の受け入れ、並びに患者の在宅復帰支援等を行う機能を有し、地域包括ケアシステムを支える役割を担う病床です。
急性期病棟で治療を終えた方の、在宅療養に向けての退院先探しや、退院後介護サービス調整などの目的の他、「在宅や介護施設等で療養している方で、発熱、脱水症、肺炎等の治療が必要となった方」「医療ケアを必要とする在宅療養中の方で、介護者の不在等により一時的にご自宅での介護が困難となった方」「当院医師が医療上の専門的なリハビリが必要であると判断した方」などが入院できる病床となっています。
 地域の在宅や介護施設等で療養している方々へ、医療的対応・リハビリが必要になった際にサポートし、再度安心して地域で過ごせる為の支援を行います。

1)入院経路

地域患者の在宅生活を支える上で、自宅患者の入院を積極的に受け入れることは重要です。 
自宅等からの直接入院患者の受入は、毎年増加傾向にあります。
2023年度は、43%でした。

2)予定入院割合

外来・往診患者や周辺地域の地域の診療所・病院からの紹介、ケアマネージャーからの紹介レスパイト入院などが含まれます。数値に大きな変動はなく、2023年度は85%でした。

3)退院経路

地域包括ケア病床退院患者の在宅復帰率は、2022年度は回復期リハビリテーション病棟や一般病床への転棟患者が増えたことから77%に減少しましたが、2023年度は83%と、以前の数値に戻りました。

4)リハビリ・その他の指標

1患者1日あたりのリハビリ実施単位数は平均2.2単位/日に減少しました。
病床利用利用率に大きな変化はありませんでした。
平均在院日数は18.38日に減少しました。



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17 入院患者のリハビリテーション

1)退院患者におけるリハビリテーション実施率

退院患者の内、リハビリを実施した患者の割合です。 
総リハビリ単位数でみると、2月の回復期リハ病棟の単位数が減少しており、回復期リハビリ病棟での新型コロナウィルス院内感染が影響していることが予想されます。

2)病棟別リハビリテーション実施単位数

2023年は1患者あたりのリハビリテーション実施単位はどちらの病棟でも減少しました。ただしリハビリ単位総数でみると、回復期リハビリテーション病棟では上昇していました。

3)回復期リハ病棟以外での早期リハビリテーション実施

回復期リハビリテーション病棟では、入棟日当日からリハビリテーションを開始するため、回復期リハビリテーション病棟以外の患者で早期介入の状況をみると、2023年は99%が7日以内にリハビリテーションを実施し、内97%は3日以内にリハビリテーションを実施していました。



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18 入院患者へのケアカンファレンス実施

1)入院患者へのカンファレンス実施割合

病棟におけるケアカンファレンスとは、医療を提供する関連スタッフが、情報の共有や共通理解を図り、問題解決を図る為に開催される会議の事です。

回復期病棟での定期カンファレアンスは入院してきた患者様に対して必ず月1回実施しています。またADLカンファレンスでは看護師・療法士にて月1回実施し患者様の日常生活動作、退院先の検討、目標等話し合っています。
急性期・一般・地ケア病棟では必要に応じて実施しています。
入院患者数によってカンファレンス実施人数は変動します。

カンファレンス件数は、2021年(2239件)→2022年(1860件)に減少しました。ただし、延べ入院日数比率では9%→8%と、大きな変化はありませんでした。
1年365日で割った、1日あたりの平均カンファレンス実施件数は5.1件でした。

2)退院患者への退院前合同カンファレンス実施

3)種類別カンファレンス実施件数

カンファレンス件数は新型コロナウィルス感染症の影響で2022年減少しましたが、2023年は2246件の戻りました。



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19 身体的拘束

身体的拘束は、『抑制帯等、患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して、一時的に患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限』のことをさします。患者さんの行動を制限するものであるため、人権に配慮し、不必要な身体的拘束が行われないように、2016年度より身体的拘束における考え方の検討を開始し、説明・同意書の見直し、やむを得ず身体的拘束を行う場合の手順について見直しを行っています。
具体的に、身体的拘束を行うことがやむを得ない場合として
①患者さんや、他の患者さんの生命や身体が危険にさらされる可能性が高いとき
②行動を制限する以外に代わる方法がないとき
③身体的拘束は一時的に必要なとき
が考えられます。その際には、できる限り身体的拘束をしない方法について、医師をはじめとした多職種で検討しますが、やむを得ず必要となった場合、明確な根拠と正当性を確認した上で、行います。

※その他、門扉やベッド柵、離床センサー器具など、使用方法によって身体的拘束を定義づけています

1)身体的拘束の割合(全病棟)

身体的拘束を行った患者の身体的拘束延べ日数と実患者数は、基準・手順を見直した2020年に以降、2021年は減少していましたが、コロナ病床の影響も大きく、2022年は実患者数・延べ日数ともに増加しました。少しの減少ではありますが、2023年は減少となりました。

2)身体的拘束の割合(一般急性期病棟・地域包括ケア病床)

病棟別にみると、一般急性期病棟・地域包括ケア病床では、拘束着着用やミトンなどの抑止補助具装着が増加し、全体としても、7%⇒16%に増加しました。年推移でみると、2020年まで減少してきていましたが、毎年増加してきています。特に抑制着や車椅子の安全ベルトの増加が目立ちます。

3)身体的拘束の割合(回復期リハビリテーション病棟)

回復期リハビリテーション病棟では、全ての項目で大幅に減少がみられ、13%⇒6%に減少しました。長年、課題であった車椅子の安全ベルト、4点柵でも減少がみられています。


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20入院患者の転倒・転落インシデント報告件数

 転倒・転落事故は外傷や骨折につながり、患者に大きな影響を及ぼします。しかし、一方で転倒転落防止の為に過剰な身体拘束を行うことは、患者の人権を侵害し、患者の身体能力の低下にも大きく影響するため、バランスのとれた管理を行いながら、患者の評価・介助・見守りを強化する事が求められます。

参考>>3. インシデント・アクシデント報告

1) 入院患者転倒転落事例報告件数

2023年度は2022年度とほぼ横ばいの件数でした。2022年度はコロナ病床があり、入院患者数が少なかった状況下であったのに対し、2023年度はコロナ病床が廃止となり、入院患者数が増えた状況下でほぼ横ばいの件数で抑えられました。

2) Lv3b以上(=転倒転落事故による骨折発生等の高度障害時例)の報告件数

2023年度における、Lv3b以上となった転倒転落事例はわずかに1件で、2022年度の2件発生よりも更に減らした結果となりました。2022年度はコロナ病床があり、入院患者数が少なかった状況下であったのに対し、2023年度はコロナ病床が廃止となり、入院患者数が増えた状況下でしたが、良好な値となりました。

3)転棟・転落インシデント報告件数(一般急性期病棟・地域包括ケア病床含む)

病棟別にみると、一般急性期病棟では、2020年(23件)⇒2021年(9件)に大きく減少した総件数が、⇒2022年(25件)に増加しました。大きく増加したのはLv2です。Lv3bの濃厚な治療や処置(予定外の処置や治療、入院、入院期間延長など)が必要となったインシデントは1件⇒2件に増加しました。

発生頻度をみても、件数と同様の傾向がみられました。

4)転棟・転落インシデント報告件数(回復期リハビリテーション病棟)

回復期リハビリテーション病棟においても、全体として転落インシデント件数が増加し2020年の件数に戻りました。

発生頻度でも件数と同様の傾向が見られます。



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21入院患者満足度

スタッフへの満足度は高い傾向にありました
一方で、「入院環境」「プラーバシー・配慮」「総合評価」ではやや低い評価となりました。

特に低い評価となったのは、「入院環境」における「③ベッドや病室の周辺は静かでしたか?」平均3.2点「プラーバシー・配慮」における「①食事内容や配膳時間は良かったですか?」平均3.3点でした。

今後も、患者様のお声を参考に、入院環境に改善に努めていきます。


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